暗号通貨とは何か?意外と知られていない基本や歴史を解説
- 2020.09.01
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「暗号通貨」という名称を聞いたことがあっても、その仕組みについて理解している人はそれほど多くないでしょう。暗号通貨は、日本円や米国ドルなどの法定通貨とは異なる特徴を持ちます。
多くの暗号通貨は、ブロックチェーン技術によって暗号化され、安全に取引されています。
暗号資産=暗号通貨ではなかった
暗号通貨の他に、「暗号資産」という表記についても触れておきましょう。2017年に資金決済法が改正され、仮想通貨という呼び方が初めて法律の中で登場しました。続く2019年の法改正で、仮想通貨は暗号資産という呼び方に改められました。
暗号資産は、インターネット上でやりとりできる財産的価値を持つすべてのものを指します。暗号資産は通貨に限りません。つまり暗号資産は暗号通貨を含む、より広義の言葉といえます。
暗号資産という言葉が使われるようになったのは国際基準に合わせるためです。仮想通貨は約10年前に登場し、「Virtual Currency(仮想通貨)」と呼ばれていました。その後、「Cryptocurrency(暗号通貨)」と呼ばれることもありました。しかし最近では、国際会議など公式な場においては、「Crypto asset(暗号資産)」と表現されることが一般的です。その為、日本語の表記も世界基準に合わせて見直されることとなりました。
暗号資産といっても今は仮想通貨がほとんどを占めますが、今後はさまざまな暗号資産が登場する可能性もあります。たとえば、著作権や個人情報なども暗号資産になるかもしれません。また不動産などの既存の資産も、暗号資産に置き換えられていく可能性があります。
こういった未来を予測した上で、表記が見直されたとも考えられます。
暗号通貨が注目されている背景
暗号通貨は、日本円や米国ドルなどの法定通貨とは様々な面で異なっています。単位も独自のものが使われており、法定通貨との交換レートは日々激しい値動きを見せています。また紙幣や硬貨といった実体を持ちません。
暗号通貨は、インターネットの存在やブロックチェーン技術によって支えられています。技術発展の中で生まれた、まさに次世代の通貨といえるでしょう。今はまだ法定通貨の方が知名度や信頼性で勝っていますが、いずれは逆転する日がくる可能性もあります。
また、暗号通貨は価格変動が激しいことから、投資対象としても注目を集めています。暗号通貨には数多くの種類があり、価格はさまざまな要因により上がったり下がったりします。タイミングをみはからって売買や交換を行うことで、高いリターンを得られる可能性もあります。
暗号通貨でできる3つのこと
暗号通貨というと、投資対象としてのイメージが強いかもしれません。しかし、通貨であるため決済や送金に使うことも可能です。例えば、暗号通貨を使って商品を購入したり、サービスの提供を受けたりすうることもできます。ただし、決済で使うには、店舗側が暗号通貨による決済を導入している必要があります。
大手家電量販店をはじめ、いくつかの企業が暗号通貨による決済を導入していますが、現状ではまだまだクレジットカード決済ほど行き渡っているわけではありません。一方でクレジットカード決済とは比べ、暗号通貨による決済の場合、店舗側が負担する手数料は安く済みます。その為、今後暗号通貨で決済できる店舗は徐々に増加していくと見込まれています。
また国際送金でも利用されることが多くあります。従来は国際送金をしようと思えば、銀行などの金融機関を通じて手続きをする必要がありました。その場合、高い手数料を金融機関に支払わなければなりません。しかし暗号通貨なら金融機関を通さず送金できるため、はるかに安い手数料で送金が完了します。
暗号通貨に投資する場合、利益をあげる方法はいくつかあります。シンプルなのは暗号通貨の価値が低い時に日本円を暗号通貨に換え、暗号通貨の価値が上がってから暗号通貨を日本円に換えるという方法です。また、暗号通貨を第三者に売却して売却益を狙うこともできます。
暗号通貨でできることをまとめると、主に決済・送金・投資の3つとなります。
暗号通貨の仕組みを簡単に解説
多くの暗号通貨ではブロックチェーンという仕組みが活用されています。ブロックチェーンとは分散型台帳とよばれるデータベースの仕組みです。
ブロックチェーンでは「〇月〇日、AさんがBさんに〇円送金した」といった取引データをブロックという単位にまとめて保存し、チェーンのようにつなげていきます。保存する際に元のデータは暗号化されチェーン同士がつながっていくことから、データ改ざんは実質不可能といわれています。
ブロックチェーンによって、暗号通貨は低コストで安全に決済・送金できる通貨として注目を集めています。
暗号通貨を活用するメリット
続いて、暗号通貨を活用するメリットを紹介していきます。
両替せずに海外で利用できる
日本円や米国ドルなどの法定通貨は、使える地域が限定されています。その為、旅行や出張で海外に行く時は、現地通貨へと両替しなければなりません。
旅行中・出張中に使う金額を見積もって両替するのは、なかなかに面倒です。予想通りにいかず、街中であわてて両替所を探して両替した経験を持つ人は多いことでしょう。逆に多く両替しすぎてしまい、日本円に戻すと両替手数料がかかることから、空港であわてて現地通貨を使い切るのも、海外旅行あるあるといえます。
しかし暗号通貨は国が発行しているわけではなく、インターネットがある環境でなら全世界どこででも使うことができます。将来的に暗号通貨の決済を導入する企業が増えれば、海外旅行や海外出張でも両替せずにお金を払えるようになる可能性もあるでしょう。
タイミング次第で大きなリターンを狙える
世界初の暗号通貨であるビットコインが初めて決済に利用された時、25ドル相当のピザ2枚と1万BTCが交換されました。この時のレートは、1BTC=0.0025ドルです。その後、ビットコインの価格は少しずつ上がり、2018年には1BTCは200万円を超えています。
25ドルは、ここ数年のドル円レートでいえば約3,000円です。もしその1万BTCをとっておいて2018年に売却したとすると、3,000円を元手に200億円の資産を築けたということになります。こうしてみると、暗号通貨が夢のある投資だと理解できるでしょう。
代表的な暗号通貨
続いて、代表的な暗号通貨を3つ紹介していきます。
まず世界初の暗号通貨であり、現在も時価総額1位を誇るビットコインがあります。ビットコインは、サトシ・ナカモトという人物の論文をもとに、2009年に登場しました。なお、サトシ・ナカモトという人物が誰なのかはいまだにわかっていません。
ビットコインは最も歴史が長く、知名度も高い暗号通貨です。かつては、大手取引所のマウントゴックス社が流出事件を起こし、問題になったこともあります。しかし10年と少しの間、ビットコインそのもののシステムは1度も停止していません。これはブロックチェーン技術の安定性を世界中に示す好例といえるでしょう。
ビットコインに次ぐ時価総額を誇るのが、イーサリアムです。登場は2015年と比較的新しく、契約を自動実行するスマートコントラクトという機能を持つことが特徴です。
リップルは時価総額3位で、ビットコインやイーサリアムに次いで人気のある暗号通貨です。リップルはブロックチェーンを使っておらず、XRP Ledgerという異なる分散型の暗号台帳システムを採用しています。
リップルのシステムの場合、取引の承認にかかる時間を圧倒的に短縮できます。その為、世界中の金融機関から注目を集めています。また、国際送金を助ける「ブリッジ通貨」としての役割が期待されています。
投資するならリスクに注意
暗号通貨の仕組みや可能性について理解すると、「少し保有してみようかな」という気持ちが湧いてくることでしょう。しかし、暗号通貨には特有のリスクもあるため、リスクを知ったうえで余裕資金を交換することが大切です。
まずほとんどの投資と共通しますが、価格変動リスクがあります。特に暗号通貨では価格変動が激しい傾向があるため、高いリターンを狙える一方で大きく損をしてしまう可能性があります。無理のない金額で暗号通貨を保有するとともに、価格に影響を与える情報には十分アンテナを張るようにしたいですね。
また、ビットコインを紹介する際に大手取引所の流出事件について触れました。暗号通貨で採用されているブロックチェーン技術は、データ改ざんが実質不可能といわれている通り、非常に安定性の高い仕組みです。
一方で、暗号通貨を購入する際には取引所を利用することになります。そして、取引所がハッキングされてしまえば、当然流出といったシステム事故が起こりうります。暗号通貨そのものの仕組みが破られなくても、システムリスクが存在することには注意しておかなければなりません。
暗号通貨のリスクについて説明してきましたが、資産を保有する以上、リスクはつきものともいえます。
預貯金であっても金融機関が破綻すれば、保証範囲外のお金は戻ってきません。現金であれば盗難されるリスクがありますし、預金であれば銀行強盗に遭うリスクがあります。また、インフレで物の価値が2倍になれば、単純計算で預金や現金の価値も2分の1になってしまいます。
大切なのは、それぞれの資産の特徴とリスクについて十分理解し、適切な配分で資産を保有することです。どの資産を保有することが正解というわけではありません。現在日本円中心で保有しており、暗号通貨の今後の可能性に興味があれば、余裕資金を暗号通貨に換えてみるのもいいでしょう。
暗号通貨が持つ将来性
登場から10年と少し経ちますが、暗号通貨はまだ発展途上の段階にあるといえるでしょう。
今後、暗号通貨による決済を導入する企業が増えれば、投資以外に決済で使う機会も格段に増えるかもしれません。また、シェアリングエコノミーやパラレルワークが今以上に広がりを見せるにつれ、暗号通貨による決済や送金のニーズが高まる可能性もあります。
成熟しきっていないからこそ、暗号通貨は大きな将来性を秘めているといえます。暗号通貨を保有し、その行く末を見守りながら、その成長可能性に投資してみてはいかがでしょうか。