アメリカでブームを巻き起こすDeFi(分散型金融)
- 2020.08.30
- 資産形成
DeFi(分散型金融)は今、かつてのICOブームのような状況にあります。このDeFiブームを牽引しているのが「イールドファーミング」。日本ではまだ聞き慣れないこの仕組みをこの記事では解説していきます。前編では前提となる基礎知識を整理します。
トークンとは?
トークンは、ビデオゲームでプレーヤーがモンスターとの戦闘中に稼ぐポイントやコインのようなものです。ポイントやコインは武器や装備と交換できます。
ですがブロックチェーンを使うと、トークンは単一のオンラインゲームに限定されず、他のゲームでも使えるようになります。トークンは通常、何かの所有権、あるいはサービスの利用権を表わします。
イーサリアムブロックチェーンでは、トークンを使ったさまざまなユースケースが開発されています。ちなみに、イーサリアムにおけるトークンとは「ERC-20トークン」のことです。
ERC-20トークンはある種のソフトウエア規格で、トークン作成者は利用に関するルールを作成できます。トークンは複数の方法で使用できますが、多くの場合、アプリケーション内でお金として利用されます。
ガバナンストークンは違います。ビデオゲームのポイントやコインのようなものではありません。所有者にプロトコル変更について投票する権利を与えます。
例えば、DeFiのパイオニア的存在であり、レンディング(融資)サービスを展開するメイカーダオ(MakerDAO)では、ガバナンストークン「MKR」の保有者はほぼ毎週、融資にかかる費用や貸し手の収入などを管理する指標の変更について投票しています。
ですが、あらゆるトークンに共通していることは、取引が可能で価格が設定されていることです。そのため、トークンにお金としての価値がある場合、トークンを銀行に預けるか、少なくとも銀行に非常によく似たサービスを利用することができます。これがすなわち、DeFi(分散型金融)です。
DeFiとは?
当初は「オープン・ファイナンス」と呼ばれていましたが、今では「DeFi(分散型金融)」という呼び方が定着しています。
DeFiは従来の「お金」を使って行うすべてのことが可能で、違いは暗号資産ウォレットがあることくらいです。
DeFiは未成熟で実験的なものかもしれませんが、テクノロジーは驚異的です。通常のウェブサイトでは、サイトオーナーに十分な個人情報を渡さなければミキサーを買うこともできませんが、DeFiでは、名前を明かさずにお金を借りることができます。
DeFiアプリはユーザーの借金の担保を持っているので、信用状況を気にしません。では、すでにお金を持っている人が借金をする意味は何でしょうか?
ほとんどの人にとっては、ある種の取引のためです。最もわかりやすい例は、トークンをショートするケースですね。
ショートとは価格が下落した場合に利益を得る取引手法です。
例えば、トークンを担保にお金を借りて、その後トークンが値下がりすると、担保のトークンを取り戻すために必要なお金は少なくて済みます。つまり差額分が利益となります。
また、トークンを保有したまま、市場で取引がしたいという人にも適しています。
どれくらい稼げるのか?
伝統的な銀行にお金を預けるよりもはるかに稼ぐことができます。ただしそれは、DeFiスタートアップがガバナンストークンの配布を始める前の話です。
現在、最も人気を集めているコンパウンドを例に説明していきましょう。
記事執筆時点では、USDCをコンパウンドに預けると2.72%の金利を得ることができます。テザー(USDT)では2.11%。現在、ほとんどのアメリカの銀行口座の金利は0.1%にもなりません。
しかし、いくつか注意点があります。
まず、金利がきわめて高いことには理由があります。つまり、DeFiは銀行に比べるとリスクがはるかに高くなります。お金を保護する連邦預金保険公社(FDIC)は存在しません。取り付け騒ぎが起これば、ユーザーはお金を引き出せなくなる可能性があるからです。
さらに金利はかなり大きく変動します。1年でどれくらいになるか分かりません。USDCの金利は高い時と低い時があります。通常は1%台で推移しています。つまり、コンパウンドに資産を預け入れると金利を稼ぐことができます。