急速に成長するDeFiに暗号資産初心者が投資するには?

急速に成長するDeFiに暗号資産初心者が投資するには?

昨今、暗号資産・ブロックチェーン業界ではDeFi(分散型金融)の分野が注目されています。スマートコントラクト上にロックされた資産規模を計測するTVL(トータル・ロック・バリュー)という指標は8月後半に60億ドルを突破しています。DeFi市場はわずか数か月で数倍に拡大しており、「バブル」と見る声も少なくありません。

そこで、ここでは急速に成長しているDeFi市場についてご説明します。また、難解なDeFiのトレンドに乗り切れないという暗号資産初心者がどのように向き合えばいいのかについても解説していきます。この機会にDeFiに投資する価値があるかどうか検討してみてください。

急速に成長を遂げているDeFi

DeFi(分散型金融)とは一般的にイーサリアム上の金融サービス群やそのエコシステムを総称する言葉として知られています。ステーブルコインやレンディング、分散型取引所サービスなどがその例です。資産はユーザーの手元のウォレットで管理したまま、誰でもインターネット上でアクセス可能です。

最近では、イーサリアム系のトークン(ERC20規格に準拠)をスマートコントラクトにロックすることで金利やトークンを獲得する、「流動性マイニング」や「イールドファーミング」と呼ばれる手法が投資家に注目されています。

DeFiレンディングサービス「Compound」の「ガバナンストークン(Comp)の流動性マイニングを使った配布が始まった6月以降、TVLは2か月間で3倍強に膨らみました。Compoundは分散型の運営を目指しており、意思決定に「ガバナンストークン」を使用します。

Compトークンは、流通量もままならないままに配布開始から数週間で主要な取引所に上場しており、時価総額は一気にトップ30まで大躍進を遂げました。この動きを受けて、ガバナンストークンが軒並み高騰しています。

しかし、DeFiプロジェクト全体が雰囲気で買われているため、各トークンの価値が適切に測定されている訳ではないことに注意が必要です。既に過熱市場(バブル)となっている可能性があります。

DeFiを利用するには

DeFi系プロジェクトの多くは、イーサリアム・ブロックチェーン上で構築されています。代表例としてCompoundの利用方法をご紹介します。

Compoundはレンディングプロトコルです。「MetaMask」などのイーサリアムウォレットを経由して、イーサリアムやBATなどのトークンを貸し出すことで、利息を得ることができます。逆に借り入れることもでき、その場合、Compoundのスマートコントラクトに資産をロックします。

Compoundに参加するためには、先ず日本の暗号資産取引所でイーサリアムを購入します。そのイーサリアム を「MetaMask」などのウォレットへ送付します。イーサリアムを使い、Compound内で自身の資金を貸し付けることが可能になります。なお、途中でERC20型のステーブルコイン(米ドルの価格と連動している暗号資産:USDC、USDC、DAIなど)に交換して、それをCompoundに貸し出すことも可能です。それぞれ資産の変動幅と金利を考慮して判断することになります。

貸付に成功すれば金利とCOMPトークン(Compoundのガバナンストークン)を得ることができます。このように手順をいくつかクリアする必要があるので、暗号資産やブロックチェーンの知識、ウォレットへの扱いなどに慣れておく必要があります。

DeFiバブルに「参加しない」で恩恵を受けるのも手

DeFiのエコシステムを活用しているサービスは1つだけでなく、複数存在します。中にはハイリターンを主張するプロジェクトもありますが、迂闊に信用することにはリスクが伴います。

今のDeFiブームは、以前のICOバブルに酷似しているとも言われています。ICOバブルでは、ほとんぼ中身のないアルトコインに大きな資金が集まったことで、ICO市場は急激に加熱しました。今回も乱立するDeFiプロジェクトの中には、コードをコピーしただけのものや、コード監査を経ていないものも含まれています。そもそもガバナンストークンの価値に疑問を呈す専門家も少なくありません。

むやみにDeFiに参加するのではなく、理解するまでは「参加しない」という判断もありえるでしょう。それでもこの「DeFiバブル」を体験したいという方は、ビットコインやイーサなど主要な暗号資産を保有しておくことで、市場全体の利益を享受という手もあります。

まとめ

DeFiはイーサリアム上の新しい金融サービスとして今後発展していく可能性はありますが、現状、暗号資産初心者が無理をして参加する必要はありません。この機会に、ブロックチェーンに対する知識を改めて身に付けたり、自分の暗号資産を取引所ではなく自分自身で管理するところから始めてみましょう。

DeFiを含むブロックチェーン技術が世界的に活用されることで、暗号資産自体の価値が上がってくる可能性もあります。今の段階からベース資産であるイーサリアムやビットコインを、コツコツ積み立てる戦略が望ましいでしょう。